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タイト海外通信 「インターツム展 2009」

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今年で50周年を迎えたインターツム展(5月13日~16日 ドイツ・ケルン市)に参加しました。50年前といえば1959年=昭和34年、高度成長期の序章の頃です。その当時の状況がどのようなものであったか知る由もありませんが、その後、何度か参加した頃の記憶、最近2~3枚の記憶を繋ぎ併せて想像すると、化粧材という商品が欧州では過去一貫して高メラ・低メラ化粧板、そして天然木工芸突板が主流を占めて生態学的ニッチに様々な化粧材料が浮沈を重ね小進化を繰り返して来たと思います。
昨年らの未曾有或いは100年に一度の恐慌下、どのような生き様を示すのか大変興味深い機会でした。

フォーマイカ社やウィルソナート社など北米勢は出展せず、欧州の各社は生き残りを賭けて、大進化・何度目かの再編・グループ化が進行中と思います。フライドラー社系列には、ウッデゴ社、デュロバル社、テルモバル社を収め、ホマパル社・ホマニット社が、同じ展示方法で自社品を出展していました。聞けば出展費用を抑えるためとのこと。おそらく3社のグループ化が進むのだと判断しました。イタリアでも同様の傾向は既に進行中です。

レゾパル社は低メラ・高メラ板で汎用品を、デコデュール社はメタル天然木化粧板、ポリレイ社は大胆な色使いの抽象柄を軸に出展していました。数年前には1~2社程度の会社が高メラ化粧板の表面層に突板を積層した化粧板を上市していましたが、最近では各社が夫々品揃えしてきたのには驚いています。省みて、日本の高メラ各社が小進化も、大進化もままならず後れを取っているのは残念というべきです。

3次元成型品メーカー・リホルツ社(弊社が日本国内の輸入元)は、椅子を主体に新デザインの提案をしており、概ね予定通りの商談があったとのことでした。

今までは、大手印刷会社の「色」「柄」の傾向・特徴を報告して来ましたが、今年はそうした内容を捉えることはできません。拡散・分散が顕著でした。敢えていうなら、シャット・デコール社のような「平凡なウォールナット系」の木目柄(横目)が主流ということになります。

前回同様、5号館が全てが突板関連を出展し(前回より出展者数は減少)、突板製品への回帰が顕著です。中国からも3社程度が「人工突板・多層積層突板」を出展していました。夫々に「合法材・持続可能な木材資源管理」への対応を尋ねましたが、全て曖昧な回答で、何もできていない、警戒すべき水準でした。

化石燃料をひたすら消費し続け、或いは、フィルム・シート化した製品、野放図な森林伐採・違法伐採の結果、地球温暖化・環境破壊・未体験ウィルスの来襲など、今までの生産システムを根本から改めなければ生き残れない経済環境に直面した資本主義経済・商品経済の体系が、化粧材料の分野では、低メラ・高メラ、そして、再生可能な合法材を主流にする「突板」に集約されるのでは。という予感が確信に変わった今回のインターツム展でした。

報告者: TAYT M.A

2009/05/22