泰斗株式会社及び取引企業が出展する海外展示会情報・建装内装材業界情報を配信 東京都中央区 泰斗株式会社

TAYT海外通信

タイト海外通信「ZOW展 2012」

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2月6~9日に開催された「ZOW展2012」(独・バッドザルツフレン)に参加しました。

今年は、期間中、零下日が25日以上続くという極寒波の到来により、周辺の屋外は-15~-6℃と、商店街以外はゴーストタウンのような閑散とした風景でした。
どの家の煙突からも団らんを告げる煙がゆらゆらと立ち上がっているのが印象的でした。

”ZOW展2012”での「木目柄」の化粧製品(ドア・カウンター、etc)としては、「FSC®製品(=伐採から製品までルーツ管理=自然保護)」を推奨するEUの影響か、”自然木の風合い”が今年の共通テーマのようで、素材の違い(天然木・紙・プラスチック)に係わらず、”節”、”虫跡”、”染み”、”割れ”、”色ムラ”…、といった「より自然」を柄の中にあえて意匠として取り入れた提案が多く目に映りました。

自然風合い製品例

色・柄

<色合い>
・樹種に関係なくグレー・ブラウンが基調(ここ2~3年の主流=長い不況の影響)
<柄構成>
・古木調(シミ・変色・節・虫跡・割れをデザイン)
・狭幅接ぎ<50~80mm程度>&板/柾混成

●現物展示では色差や自然木の風合いをはっきりと主張した柄が多い

 

ALPI社 展示ブース

<ALPI社ブース概観>
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ALPI社 大板展示品例

※ALPIの大板展示品の柄傾向
・明暗のはっきりした不規則調
・天然素材感を強く出したミスマッチ構成

吸音仕様 ドアパネル製品 (抜粋)

不況下での時短・無残業・無休出や高齢者増による在宅時間の長期化に伴い、居室空間での大型画面TV・ホームシアターの普及(AV普及)や個室での楽器演奏等の増加から、室内音場環境の改善(残響時間短縮)を目的とした”吸音加工家具”の展示(意匠重視設計=古径孔・デザインスリット)が目につきました。

 

ALPI社 吸音パネル製品 (AKUSTIK)

※ALPI社の吸音加工化粧板は、コア材にペーパーハニカム、裏面に寒冷紗という構成です。
孔タイプ:
・丸孔<0.75,φ1.0,φ1.5mm>
・長孔<0.75×5.0 mm>

ALPI プラスチック(透過)複合仕様 パネル製品(DUO plex)

●DUOplex :アクリル板(PMMA、厚さ8mm)に厚単板をはめ込んだストライプ柄化粧パネル

・プラスチック部:透明typeと半透明typeの2type
・サイズ:T8×W650×L2500mm

厚板(浮造り) 製品例

●深みのある質感を活かして、”より天然らしさ”を強調した厚物製品の展示ブースは、ライティング効果もあってか人の出入りも多く存在感がありました。
《特徴》
●厚物特有の段差(陰影、明暗)を強調し、ライトアップ(凹凸ブロック、浮彫り)
●”天然木”の素材感を意匠デザイン(色差[混色]、節、割れ、キズ、染み、うねり)

《厚板化粧品(施工例)》

積層化粧板 (製品例)

※色違いの単板を積層し、彫刻することで様々な深みのある意匠設計が可能となります。
また、小径孔加工することで、吸音性も付与した製品の展示もありました。

報告者: TAYT M.A

2012/03/08

タイト海外通信「MADE EXPO展 2010」、「ZOW展 2010」

2月3日から開催された MADE EXPO展(伊・ミラノ)と2月8日から開催されたZOW展(独・バッドザルツウフレン)に参加しました。

久し振りの寒いヨーロッパを体験し、移動には難儀しました。両展示会には、弊社の主要仕入先のアルピ社(www.alpi.it)が例年通り出展していることもあり、景況厳しい中ですが、参加することにしました。この期間、まさに厳冬。ひたすら飛行機が飛んでくれるのを待ち続け、無事(?)戻ってくることができました。

「MADE EXPO展 2010 / 開催地 イタリア・ミラノ」

ミラノの広い展示会場を使って、建築一般・素材(石材・木質材、セラミックタイル等)・内装/外装ドアなど幅広い商品が展示され、昨年同様今年も「トビラ」を中心に見学しました。

化粧材料としては、今年の特徴は多種多様、そして多彩な「ガラス」を使った「トビラ」が目立って多かったようです。木質材では「無垢材」「天然突板材」よりも弊社の主力商品「天然木工芸突き板=アルピリニューム」が大変多く化粧材として使われていました。また「縦貼り」より「横貼り」、そして「デザイン貼り」も目立っていました。更に、「トビラ」表面が凹凸仕上げ(浮造り仕上げ)の多塗装感(濡れ色)を感じさせないマット仕上げが目につきました。

この仕上げ感についていうならば、アルピ社の突板化粧板「アルピコード」に2010~11年の目玉として「ブライト・シルク」と銘打った従来の「マット・艶消し」と「3分艶」の中間(言葉と写真では表現できない)の仕上げを発表しました。「質感=クォリティー」と「材質=マテリアル」で「クォリアル」という造語を思いつきました。如何でしょうか?

地球温暖化の進行を抑え森林保護という緊急議題は、木材資源の再生力を損なわない森林管理・運用・技術改良・表現技術の向上を後押ししてくるものと確信します。

その意味において、アルピ社の長年にわたる、カメルーン国の森林保護法の厳守と公共福祉への貢献、そして、持続性の確保への努力は、OLB(原産地と合法性の証明)取得と「FSC®」の監査合格、CoC取得といった一連の事実を積み重ね、「アユース材」への合法性・持続可能な森林経営・CoC認証に結実していることを、お知らせします。

 

「ZOW展 2010 / 開催地 ドイツ・バッドザルツウフレン」

久し振りに厳冬のドイツを思い出させる展示会でした。それは、もしかすると業界の懐具合の「寒さ」も意味するものだったでしょう。昨年に続いて小さな小間割で多数の会社が辛抱して軒を並べて出展していた。という印象を受けました。

これが、ZOW展のコンセプトの一つだった、ともいえます。もう一つのコンセプトの「斬新な技術・表現」は今年も裏切られました。業界全体が素材革新を暗中模索している真っ只中なのです。

恒例の印刷各社の出展もありましたが、何の特徴もお伝えできません。例えば、ラミグラフ社(スペイン)は、樹種で云えばオーク(同一柄・複数の色変え)・アッシュ・チェリー・エルム・ウォールナット・ローズなどなどオン・パレード。バウシュ・デコール、スッド・デコール・シャット・デコール、インタープリント社などドイツ系も樹種・色に特徴を据えることは難しく、「同一柄の色変え」表現が多かったようです。

他の用務もあり、ミラノ滞在中に、コンパクト・フォーム社で打ち合わせをしたこともあって、(本件は後日報告予定です)厚物(コンパクト)HPLに注意していたら、なんと、化粧パネルの軽量化の先陣を切っているエガー社が「重厚長大」の代名詞のような、厚物HPLをさり気無く出展していたのに気付きました。他社についても同様ですが、今まで気付かなかっただけ?だったようです。

報告者: TAYT M.A

2010/03/18

タイト海外通信「ZOW展 2009」

10月21日から24日の4日間ヴェローナ市(イタリア)で開催されたZOW展示会に参加しました。

昨年まで同展示会は、ポルデノーネ市で「SICAM」という団体との共同開催で行われていましたが、それぞれ別々に単独での開催が10月に行われました。

SICAM展示会がどのような結果だったか、詳(つまび)らかではありませんが、ZOW展示会は、惨憎たるものであったと思います。出展社数も公称では300社とのことですが、それ以下であることは確実であり、内容もメーカーが積極的に「オリジナルな商品・アイデア・加工技術を紹介する」というコンセプトが果たされていたか疑問でした。又、今までのZOW展示会とは趣が異なり、商社・販売店などが「メーカー」に代わって出展していたと思えるほどでした。

当社仕入先のアルピ社は、ZOW展には常連でしたが、経費節減、初回の展示会の評価を見定めるため展示を取りやめたとのことでしたが、イタリア国内の販社の一つ「EDILLEGNO社」が最新情報を提供するという形で、環境問題へのアルピ社の取り組みをアピールしていました。アユース材のOLB(木材の原産地と合法性)認証に続き、年内にはFSC®認証に基づき、CoCを取得(認証団体はSGS)するということでした。アルピ社の国内営業・海外営業・技術部の担当者がアテンド応援をしていました。

いつも、ZOW展のカタログ(出展社・製品別小冊子)の末尾には、来年の開催予定日が案内されているのに今年のカタログにはそれがありません。来年の開催予定(2010年10月13日~16日)が出ていたことを付け加えておきます。

化粧紙メーカー(印刷会社)も主だったところは見当たらず、印象に残ったのはドイツのIMPRESS DECOR社(www.impress.biz)くらいでした。

どうしても立ち寄ってみたかった会社に、THERMOPAL社(www.thermopal.com)があり不燃化粧板(欧州規格のEN13501-1,A2-s1,d0)の情報提供を求めるつもりでしたが、出発前に見たホームページ程度で、同社は営業方針を転換しており、パナソニック向けのLMC(低圧メラミン化粧板)が終焉し日本代表部を閉鎖、欧州市場に営業努力を注力することに決めたとことでした。

ここ数年に亘り増大している「不燃化粧板」の需要を踏まえ同社の品質がどの程度の水準か見極めて見たかったが些か残念な思いをしました。

今まで、海外の大手HPL各社が日本への進出を企て、その都度失敗し撤退しておりますが、彼らにとって日本市場に腰を据えて居続けるには「商流難解・困難・不採算」であり、結局のところ指定品番が特定のプロジェクト用に仕向けられるしかないのは、仕方ないことなのでしょうか?

低調な展示会の中で興味深かったのは、環境対策を意識したECO商品は、100%リサイクル・ペーパーとカシューナッツ・シェルから抽出したフェノール樹脂を主原料としたUSA「パネルテック社」製の「PaperStone」でした。商品としてはほぼ厚物HPLの外観・性状そして用途も同じようです。

この商品に関連し展示会には出展していませんでしたが、当社が取り扱っているドイツのデコデュール社から「グリーン・ラミネート」という名称の高圧メラミン化粧板が紹介されています。違いはコア層で、クラフト紙はNATRO社(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の製品で50~80%が再生紙、残りはFSC®(森林管理協議会)が承認したパルプを使っています。

又、含浸用の樹脂は今までの石油化学製品を原料とするフェノール樹脂ではなく、植物由来(サトウキビ)の樹脂を使っています。お問合せは、当社までご連絡頂きたいと思います。

報告者: TAYT M.A

2009/12/07

タイト海外通信 「インターツム展 2009」

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今年で50周年を迎えたインターツム展(5月13日~16日 ドイツ・ケルン市)に参加しました。50年前といえば1959年=昭和34年、高度成長期の序章の頃です。その当時の状況がどのようなものであったか知る由もありませんが、その後、何度か参加した頃の記憶、最近2~3枚の記憶を繋ぎ併せて想像すると、化粧材という商品が欧州では過去一貫して高メラ・低メラ化粧板、そして天然木工芸突板が主流を占めて生態学的ニッチに様々な化粧材料が浮沈を重ね小進化を繰り返して来たと思います。
昨年らの未曾有或いは100年に一度の恐慌下、どのような生き様を示すのか大変興味深い機会でした。

フォーマイカ社やウィルソナート社など北米勢は出展せず、欧州の各社は生き残りを賭けて、大進化・何度目かの再編・グループ化が進行中と思います。フライドラー社系列には、ウッデゴ社、デュロバル社、テルモバル社を収め、ホマパル社・ホマニット社が、同じ展示方法で自社品を出展していました。聞けば出展費用を抑えるためとのこと。おそらく3社のグループ化が進むのだと判断しました。イタリアでも同様の傾向は既に進行中です。

レゾパル社は低メラ・高メラ板で汎用品を、デコデュール社はメタル天然木化粧板、ポリレイ社は大胆な色使いの抽象柄を軸に出展していました。数年前には1~2社程度の会社が高メラ化粧板の表面層に突板を積層した化粧板を上市していましたが、最近では各社が夫々品揃えしてきたのには驚いています。省みて、日本の高メラ各社が小進化も、大進化もままならず後れを取っているのは残念というべきです。

3次元成型品メーカー・リホルツ社(弊社が日本国内の輸入元)は、椅子を主体に新デザインの提案をしており、概ね予定通りの商談があったとのことでした。

今までは、大手印刷会社の「色」「柄」の傾向・特徴を報告して来ましたが、今年はそうした内容を捉えることはできません。拡散・分散が顕著でした。敢えていうなら、シャット・デコール社のような「平凡なウォールナット系」の木目柄(横目)が主流ということになります。

前回同様、5号館が全てが突板関連を出展し(前回より出展者数は減少)、突板製品への回帰が顕著です。中国からも3社程度が「人工突板・多層積層突板」を出展していました。夫々に「合法材・持続可能な木材資源管理」への対応を尋ねましたが、全て曖昧な回答で、何もできていない、警戒すべき水準でした。

化石燃料をひたすら消費し続け、或いは、フィルム・シート化した製品、野放図な森林伐採・違法伐採の結果、地球温暖化・環境破壊・未体験ウィルスの来襲など、今までの生産システムを根本から改めなければ生き残れない経済環境に直面した資本主義経済・商品経済の体系が、化粧材料の分野では、低メラ・高メラ、そして、再生可能な合法材を主流にする「突板」に集約されるのでは。という予感が確信に変わった今回のインターツム展でした。

報告者: TAYT M.A

2009/05/22